公共トイレと聞いて、何を思い浮かべますか?暗くて、不潔で、ベタベタしたイメージ?日本財団のTHE TOKYO TOILETプロジェクトは、こうしたイメージを一新するため、東京渋谷区にある17の公共トイレを、日本を代表する建築家やデザイナー16人によって設計された美しい空間に生まれ変わらせました。このプロジェクトには安藤忠雄、隈研吾、坂茂、坂倉竹之助、片山正通、伊東豊雄、NIGOなどのトップクリエイターが参加し、公共トイレを「私たちの日常の一部」として再定義しています。公衆トイレはドイツの名監督ヴィム・ヴェンダースによって映画『私の完璧な日常』としても撮影されました。
THE TOKYO TOILETプロジェクトには、三つの条件があります:日本の建築基準法に準拠すること、衛生設備はTOTOが提供すること(そう、TOTOがスポンサーです)、そしてジェンダーレスのトイレを設置することで、現代の多様な社会に対応することです。プロジェクトは渋谷区の17カ所で展開されており、トイレ空間のデザインだけでなく、清掃管理も長期間にわたり維持されるように計画されています。NIGOは清掃員の制服デザインも担当しており、トイレの美的統一感を高めています。
清掃員の制服だけでなく、NIGOはトイレ自体のデザインにも貢献しました。彼のトイレは渋谷区神宮前にあり、1946年に建てられた米軍の「ワシントンハイツ」にインスピレーションを得て、白い塗装に湖水色の窓枠と茶色の斜屋根で仕上げられています。このデザインは、NIGOが幼少期を過ごした原宿の風景を再現したもので、ノスタルジックで新鮮な空間を演出しています。
片山正通率いるデザイン会社Wonderwallが手がけた「Modern Kawaya」は、恵比寿公園にあり、15枚の壁で迷路のような空間を作り出しています。新石器時代のトイレ「kawaya」を現代風にアレンジしたこのトイレは、子供の遊具の隣に位置し、使いやすく設計されています。
場所:恵比寿公園(渋谷区恵比寿西1-19-1 恵比寿公園内)
話題となった透明トイレは、坂茂が代々木深町小公園と春の小川公園に設計しました。透明ガラスを使用し、鍵をかけると不透明になる特殊な設計で、清潔さと安全性を確認できます。
場所:代々木深町小公園(渋谷区富谷1-54-1 代々木深町小公園)
隈研吾は、吉野杉の板を使用して、5つの異なる用途のトイレを設計しました。トイレは公園の中で、木材の自然な美しさが周囲の景観に溶け込むようにデザインされています。
場所:鍋島松濤公園(東京都渋谷区松濤2丁目10)
コンクリート建築の巨匠、安藤忠雄が設計した「あまやどり」は、神宮通公園に位置しています。桜の木々に囲まれたこのトイレは、四方の柱と屋根のみで構成され、通気性と光の取り入れを意識したシンプルなデザインが特徴です。
場所:神宮通りパークトゥーレ(東京都渋谷区神宮前6-22-8)
他にも、田村奈穂や槙文彦など、数々のデザイナーが手がけたトイレが渋谷区各地にあります。美しいデザインとともに、清潔で安心して使えるトイレが、都市空間に新たな価値を提供しています。
詳細は以下をご覧くださいThe Tokyo Toilet官網