昨年末に台中の勤美術館がオープンし、オープニング展として日本のデザインチームNendo(佐藤大主導)による初の展示「OUTLINES IN BETWEEN」が開催されました。「雨、雲、紙、線、石」という5つの要素をデザイン空間へと昇華し、これは単なるミニマルデザインの饗宴ではなく、デザインの境界に問いを投げかける展覧会でもあります。このような実用性と美学の狭間にあるデザイン哲学は、デンマークの老舗照明ブランドLouis Poulsenとの協業により生まれた代表作──Tomoshiにも体現されています。
Tomoshi:光を携帯できる感情の記憶に
Tomoshiは携帯可能なLED燈で、その名は日本語の「灯(ともし)」に由来し、「光」を意味します。デザインはレトロなオイルランプから着想を得ており、日本の日本設計チームNendoがミニマルな筆致で懐かしさを再解釈しました。マットな質感の灯体と天然レザーのハンドルを組み合わせ、空間との感情的なつながりを感じさせる存在感を生み出します。テントを照らす露營燈としても、寝室、ダイニングテーブル、窓辺などに置いても、その柔らかく優しい光は、まるでそっと寄り添う友人のように日常を見守ってくれます。
キャンプ用ライトから日常のオブジェへ──Nendoが光の温度をデザインする
LED技術とバッテリー技術が進化する現代では、携帯照明が「軽く、薄く、小さく」進化しています。しかしTomoshiは、あえて手に持つ心地よい厚みと重みを残し、物としての温もりを感じさせます。2700K〜2000Kの暖色切替、滑らかで直感的な調光ボタン、レザーハンドルの繊細な手触りなど、すべてにおいて日本のデザインマスター佐藤大とNendoチームの「人から考えるプロダクトデザイン思考」が込められています。このライトの全ての角度と触感は、緻密なユーザー体験の演算によって導かれたものです。
ライトを作るのではなく、ライフスタイルを創る
Tomoshiのデザインは驚きよりも、細部からじんわりと心に響くよう設計されています。吊るす、持ち運ぶ、無段階の調光ができ、電池が切れても光源やパーツの交換が可能で、製品のライフサイクルを延ばします。佐藤大は次のように語ります。「Tomoshiは光を自由に置いたり吊ったりでき、懐かしさや親しみを呼び起こし、私たちの日常に新鮮さを与えてくれる」。このLED燈は、旅に連れていける露營燈でありながら、静かに流れる日々を豊かにするために生まれた存在なのです。