カナダの写真家Greg Girardは2017年から、「桜(Sakura)」という名前が日本のスナックバーで特に多く使われていることに気付きました。桜は日本文化で儚い美しさと生命の循環を象徴しており、この意味合いはスナックバーが提供する温かくシンプルなサービスと重なります。Girardはそのインスピレーションから、7年にわたる撮影旅を開始しました。沖縄の情熱的な夜から北海道の寒冷な風景まで、日本の47都道府県を巡り、都市の片隅に隠れた「Snack Sakura」をカメラで記録しました。その成果は、見事な写真集としてまとめられています。
スナックバーは重要な社会的役割を果たす?
スナックバーは通常、親しみやすい「ママさん」が経営し、来店客を素朴で温かく迎えます。お酒を飲んだり、軽食を楽しんだり、カラオケを歌ったり、他の客と会話したりと、ここでは居心地の良いひと時が過ごせます。大規模なバーと比べて、スナックバーはどこか懐かしい避風港のような存在で、特にサラリーマンや年配の方々に人気があります。
Girardの写真作品は、これらの情景の美しさを捉えつつ、スナックバーが地域社会のつながりを担う社会的役割をも反映しています。薄暗いネオンの灯りやかすかに漂う歌声、そうした日本の夜文化の異なる顔が写真に記録されています。
新しい日本旅行の準備はできましたか?
『Snack Sakura』は、視覚と感情が交差するノスタルジックな日本旅行です。Girardのレンズを通じて、日本独特の夜の文化を再発見できます。写真愛好家にとって、この作品は単なる素晴らしい写真集ではなく、文化を繊細に探求する旅でもあります。それは、旅の本当の価値が見過ごされがちな美しさを発見することにあると教えてくれます。写真とは、そうした瞬間を保存する感動的な手段なのです。日本旅行が好きな方、あるいは撮影のインスピレーションを求める写真家にとって、『Snack Sakura』は深いインスピレーションと温かさをもたらしてくれるでしょう。
スナックバーの起源と東京オリンピックの関係は?
日本のスナックバー文化は1964年に誕生しました。当時、日本政府は東京オリンピックに向けて国際的なイメージをアピールするため、夜の娯楽を厳しく規制しました。バーやクラブは深夜営業を禁じられ、それを受けて機知に富んだ店主たちは軽食と飲み物を提供することで純粋なバーの規制を回避しました。この小規模で洗練された「スナックバー」が誕生し、地域密着で温かい人情を提供することで、全国で広まりました。スナックバーは、都市生活に欠かせない一部となったのです。
【『Snack Sakura』写真集】
- 出版時期:2025年4月
- 写真家:Greg Girard